海の上を走っている船を見て、
「船ってどうやって運転しているんだろう?」
「車みたいにハンドルやアクセルがあるの?」
「船にもブレーキはあるの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
自動車の場合は、ハンドルを回して曲がり、アクセルを踏んで進み、ブレーキを踏めば止まります。
しかし、海の上を走る船は少し違います。
船には道路もありません。
信号もありません。
そして、多くのボートには自動車のような「ブレーキ」もありません。
では、船長さんはどのように船を操縦しているのでしょうか。
今回は、小型ボートを例にしながら、
- 船が進む仕組み
- 船が曲がる仕組み
- 船を止める方法
- 船長が運転中に見ているもの
- 船を運転するための免許
- 子どもでも船を操縦できるのか
などを、できるだけわかりやすく解説します。
夏休みの自由研究として「船の仕組み」を調べたい人にもおすすめの内容です。
船の運転は車とどう違う?
最初に知っておきたいのが、船と自動車では運転する環境がまったく違うということです。
自動車は道路の上をタイヤで走ります。
一方、船は水の上に浮かび、水を押しながら進みます。
そのため、船を運転するときには「水」という存在を考えなくてはいけません。
たとえば自動車なら、ハンドルをまっすぐにすれば基本的にはまっすぐ走ります。
しかし船の場合、潮の流れや風によって横へ流されることがあります。
船長がまっすぐ進んでいるつもりでも、実際には少しずつ進路がずれてしまうことも珍しくありません。
つまり船の操縦では、
エンジンを操作するだけではなく、海そのものを見ながら運転すること
が重要なのです。
船はどうして前に進むの?

では、そもそも船はどうして水の上を進めるのでしょうか。
小型のプレジャーボートや釣り船では、船の後ろにエンジンが取り付けられていることがあります。
代表的なのが「船外機」と呼ばれるエンジンです。
船外機の下には「プロペラ」が付いています。
エンジンを動かすと、このプロペラが高速で回転します。
するとプロペラが水を後ろ方向へ押し出します。
水を後ろへ押した反作用によって、船は前へ進むのです。
イメージとしては、プールの中で手を使って水を後ろへかくと、自分の体が前へ進むのとよく似ています。
プロペラが水を押す力で船が進む
簡単にまとめると、
プロペラが水を後ろへ押す
↓
その反作用で船が前へ進む
という仕組みです。
エンジンの回転数を上げればプロペラも速く回るため、船の速度も上がっていきます。
反対にエンジンの回転数を下げれば、船はゆっくり進みます。
【図解挿入位置①:船はどうして進む】
この仕組みを知ると、船が水の上を走る理由がずいぶんイメージしやすくなります。
船はどうやって曲がるの?

船にも自動車と同じようにハンドルがあります。
ただし、ハンドルを回したときに動くものが自動車とは違います。
自動車では、ハンドルを回すと前輪の向きが変わります。
一方、船外機を搭載したボートでは、ハンドルを回すと船外機そのものの向きが変わります。
船外機の向きが変わることで、プロペラが水を押し出す方向も変わります。
すると船尾が押され、船全体の向きが変わっていくのです。
右へ曲がるとき
ハンドルを右へ切ると、船外機の向きが変わり、船は右方向へ旋回していきます。
左へ曲がるとき
反対にハンドルを左へ切れば、船は左方向へ旋回します。
ただし、自動車のようにその場で急に向きを変えられるわけではありません。
船にはある程度の速度と距離が必要です。
さらに、潮や風によって船が流されるため、
「ハンドルを切ったから必ず同じ場所で曲がる」
とは限らないところも、船ならではの特徴です。
【図解挿入位置②:船が曲がる仕組み図解】
船にはブレーキがないって本当?

船について子どもたちに説明すると、特に驚かれるのがこの部分かもしれません。
多くの小型ボートには、自動車のようなブレーキペダルがありません。
自動車ならブレーキを踏むことでタイヤの回転を止められます。
しかし船は水の上に浮いています。
タイヤと道路の摩擦を利用して止まることができないためです。
では、どうやって船を止めるのでしょうか。
船を止めるときはどうする?
船を止めたいときは、まずエンジンの力を弱めます。
船の操縦装置には、
- 前進
- 中立
- 後進
という位置があります。
前進している船を止める場合、まずアクセルを戻して速度を落とし、レバーを「中立」にします。
するとプロペラが船を前へ押す力がなくなります。
ただし、その瞬間に船が止まるわけではありません。
それまで進んでいた勢いが残っているため、しばらく前へ進み続けます。
これを「惰性」といいます。
後進を使って船を止めることもある
より早く船の速度を落としたい場合には、状況を見ながら後進を使うこともあります。
プロペラを逆方向に回転させることで、前へ進む力とは反対の力を発生させます。
ただし、自動車の急ブレーキのように一瞬で停止できるわけではありません。
そのため船を操縦するときには、
「止まりたい場所よりかなり前から減速する」
ことがとても重要です。
【図解挿入位置③:船にはブレーキがない|安全な停船方法】
船の事故を防ぐためには、
「船はすぐには止まれない」
ということを理解しておく必要があります。
港に船を着けるときはどうする?
船の運転で難しい操作のひとつが「着岸」です。
着岸とは、船を岸壁や桟橋へ寄せて停めることです。
港に戻ってきた船長は、いきなり岸壁へ向かって船を進めるわけではありません。
少し離れた場所から、
- 風向き
- 潮の流れ
- 船の速度
- 岸壁までの距離
- 周囲の船
などを確認しながら、ゆっくり船を近づけていきます。
そして前進と後進を細かく使いながら、船の速度をほぼゼロに近づけます。
最後はロープを使って船を岸壁へ固定します。
車でいう「駐車」に近い操作ですが、船の場合は風や潮で常に船が動こうとするため、より周囲の状況を読む力が必要になります。
船長さんは運転中どこを見ている?

船を運転している船長は、前だけを見ているわけではありません。
海の上では、かなり多くの情報を同時に確認しています。
代表的なものを見てみましょう。
前を走っている船
まず重要なのが、他の船との衝突を避けることです。
海には道路の白線がありません。
そのため周囲にいる船が、
- どちらへ進んでいるのか
- どれくらいの速度なのか
- 自分の船と接近する可能性があるのか
を判断します。
浮標や航路標識
海にも道路標識に似たものがあります。
海上に浮かんでいるブイや灯標などです。
これらを確認しながら、安全に航行できる場所を判断します。
水深
海はどこでも同じ深さではありません。
水深が浅い場所へ入ってしまうと、船底やプロペラが海底に当たってしまうことがあります。
そのため船には「魚群探知機」や「GPSプロッター」などが搭載されていることがあります。
魚を探すだけではなく、水深や海底の地形を確認する重要な装置でもあります。
GPSや海図
GPSを使えば、自分の船が海のどこにいるのかを確認できます。
地図の海版である「海図」や電子海図を見ながら、
- 浅い場所
- 航路
- 港
- 危険な場所
などを確認します。
風や波
船長は計器だけを見ているわけではありません。
海面や旗、波の形などから風向きを判断することもあります。
風が強くなれば船は流されやすくなります。
波が高くなれば、安全な速度まで船速を落とす必要があります。
【図解挿入位置④:船長さんはどこを見る】
つまり、船長は、
「船を運転する」というよりも、「海全体の状況を読みながら船を動かしている」
と考えるとわかりやすいでしょう。
船にも交通ルールがある
道路には交通ルールがあります。
実は海の上にもルールがあります。
船同士が出会ったときに、
「どちらが避けるのか」
「どちら側を通るのか」
といった決まりがあります。
たとえば船同士が正面から近づいている場合、基本的には互いに右側へ進路を変えて避けます。
また、船の種類や状況によって進路を譲る側が決まることもあります。
海には道路のような白線が見えないからこそ、船を操縦する人同士が共通のルールを守ることが重要なのです。
船を運転するには免許が必要?
日本で一定の大きさや出力を超える小型船舶を操縦する場合、「小型船舶操縦士免許」が必要になります。
一般的なプレジャーボートや釣り船の操縦でよく使われる免許には、主に、
- 1級小型船舶操縦士
- 2級小型船舶操縦士
- 特殊小型船舶操縦士
があります。
2級小型船舶操縦士
レジャーボートを楽しむ人にとって身近なのが2級小型船舶操縦士です。
沿岸部でボートフィッシングやクルージングを楽しむ場合などに使われます。
1級小型船舶操縦士
1級になると、2級よりも航行できる範囲が広がります。
より本格的に船を利用したい人向けの免許です。
特殊小型船舶操縦士
水上オートバイ、いわゆる水上バイクを操縦するための免許です。
普通の小型ボートを操縦する1級・2級とは別の資格になっています。
子どもでも船を運転できるの?
ここも自由研究ではおもしろいポイントです。
小型船舶操縦士免許には取得できる年齢が決められているため、小さな子どもが自由に船長として船を操縦することはできません。
ただし、船の運転そのものを身近に感じる機会はあります。
たとえば安全な状況で船長や大人から、
「ハンドルを回すと船外機はどう動く?」
「アクセルを戻すと船はどうなる?」
「風が吹いたら船はどちらへ流れる?」
といった説明を受けながら観察するだけでも、立派な学習になります。
実際の船を見ることで、教科書だけではわからないことがたくさん発見できます。
船の運転で一番大切なのは「周りを見ること」
船というと、
「ハンドル操作が難しそう」
「アクセル操作を覚えないといけない」
と思うかもしれません。
しかし、本当に重要なのは操作方法だけではありません。
最も大切なのは、周囲を見ることです。
海では、
- 他の船
- 漁船
- 水上バイク
- 防波堤
- 浮標
- 漂流物
- 浅瀬
- 波
- 風
など、さまざまなものに注意する必要があります。
しかも船は自動車のように急停止できません。
そのため、
「危険を見つけてから避ける」のではなく、「危険になりそうなことを早めに見つける」
ことが重要です。
これは船の操縦を学ぶうえで、とても大切な考え方です。
夏休みの自由研究なら「船が動く仕組み」を調べてみよう
今回の記事を夏休みの自由研究に使うなら、テーマをひとつに絞って調べるのがおすすめです。
たとえば、
テーマ例1「船はどうして進むの?」
プロペラが水を押す仕組みについて調べます。
水を後ろへ押すと、なぜ船が前へ進むのかを図でまとめるとわかりやすくなります。
テーマ例2「船にはなぜブレーキがないの?」
車と船を比較してみるテーマです。
「車は道路との摩擦で止まる」
「船は水の上なので惰性で進む」
という違いをまとめると、おもしろい自由研究になります。
テーマ例3「船はどうやって曲がる?」
船外機とプロペラの向きに注目して調べます。
自動車のタイヤと船の船外機を比較するのもおすすめです。
テーマ例4「船長さんは何を見ている?」
実際に船に乗ったときに、
- 前方
- GPS
- 魚群探知機
- 水深
- 波
- 他の船
- 空や天気
などを観察してみましょう。
「船長さんに質問してみた」という形にすると、自分だけの自由研究になります。
自由研究をまとめる5つのステップ
自由研究にする場合は、次の順番でまとめると非常にわかりやすくなります。
1. 疑問を書く
「どうして船にはブレーキがないのだろう?」
など、自分が最初に不思議だと思ったことを書きます。
2. 予想する
調べる前に、自分なりの答えを考えてみます。
3. 調べる
本やインターネット、実際の船などを使って調べます。
4. 図を描く
プロペラや船外機、船の進む方向などを図にすると理解しやすくなります。
5. わかったことを書く
最後に、
「最初は○○だと思っていたけれど、調べてみると○○だった」
とまとめると、自分で研究したことが伝わります。
実際の船を見ると、もっとよくわかる
船の仕組みは文章や図だけでも学べます。
しかし、実際の船を見るとさらに多くの発見があります。
船尾を見ると大きな船外機があります。
ハンドルを動かすと、船外機が左右へ動きます。
エンジンをかければ、プロペラによって船が進みます。
GPSや魚群探知機など、普段の生活ではなかなか見ない機械もたくさんあります。
釣りやクルージングを楽しみながら、
「この船はどうやって進んでいるんだろう?」
と観察してみるのも、海遊びの楽しみ方のひとつです。
まとめ|船の操縦を知ると海がもっとおもしろくなる
船の運転は、自動車と似ているところもありますが、大きく違うところもあります。
船はプロペラで水を押して進みます。
船外機などの向きを変えることで進行方向を変えます。
そして、多くの船には自動車のようなブレーキがありません。
だからこそ船長は、
- 他の船
- 水深
- GPS
- 潮
- 風
- 波
- 周囲の障害物
などを常に確認しながら操縦しています。
船の仕組みを少し知るだけでも、海の見え方は大きく変わります。
港で船を見かけたときには、
「どこにプロペラがあるんだろう?」
「どうやって曲がっているんだろう?」
「船長さんは今どこを見ているんだろう?」
と観察してみてください。
そして夏休みに船へ乗る機会があれば、ぜひ実物を見ながら今回紹介した仕組みを確かめてみましょう。
海の上には、自由研究のテーマがたくさん隠れています。

