■ はじめに:船は「買ったら終わり」ではない
中古船を検討する人が、
最後にもう一歩踏み出せずに立ち止まる理由。
それが――維持費です。
「毎月いくらかかるのか分からない」
「想像以上にお金がかかるのでは?」
この不安は、とても健全です。
なぜなら、中古船は“持ってから”が本番だからです。
ここでは、夢を煽るのではなく、
現実としての数字感を整理していきます。
■ 中古船の維持費は「固定費」と「変動費」に分かれる
まず、維持費は大きく2つに分けて考えます。
- 固定費:乗らなくてもかかるお金
- 変動費:乗った分だけかかるお金
この区別ができると、
中古船のコストは一気に見通しやすくなります。
【固定費】毎年ほぼ必ずかかる費用
① 係留費(もっとも大きな固定費)
中古船の維持費で、
最も比重が大きいのが係留費です。
- 漁港係留:年間数万円〜十数万円
- マリーナ:年間20万〜50万円以上
ここは地域差が非常に大きく、
中古船をどこに置くかでコストの8割が決まる
と言っても過言ではありません。
中古船の場合、
- 前オーナーの係留場所を引き継げる
- 地元枠で安く抑えられる
ケースもあり、
ここが大きなアドバンテージになります。
② 船舶保険
中古船でも、
保険は必須と考えたほうが良いでしょう。
- 対人・対物賠償
- 船体補償
年間で数万円程度が一般的です。
新造船ほど高額にはならず、
中古船の実勢価格に応じた
現実的な保険料で収まります。
③ 船検・法定費用
小型船舶には、
定期的な船舶検査(船検)があります。
- 中間検査
- 定期検査
これらを均すと、
年間1〜2万円程度と考えておけば十分です。
【変動費】使い方で差が出る費用
④ 燃料費
燃料費は、
「どれだけ出るか」で大きく変わります。
- 月1〜2回の使用
- 近場中心
この使い方なら、
年間数万円〜十数万円に収まるケースがほとんど。
中古船は、
過剰な馬力を持たない個体も多く、
燃費面で有利なこともあります。
⑤ メンテナンス費
ここが一番ブレやすい項目です。
- オイル交換
- 消耗品交換
- 小さな修理
毎年必ず高額になるわけではありません。
むしろ中古船は、
- すでに手が入っている
- 弱点が出尽くしている
ため、
突発的な出費が少ない個体も多い。
年間で見れば、
数万円〜十数万円を想定しておくと現実的です。
⑥ 上架・清掃費用
マリーナや係留環境によっては、
- 年1回の上架
- 船底清掃
が必要になります。
これも年間で均すと、
数万円程度が目安です。
■ 年間トータルはいくら?現実的な目安
あくまで一例ですが、
- 漁港係留
- 近場利用
- 個人メンテ中心
この条件なら、
年間20〜30万円台で中古船を維持している人も少なくありません。
一方で、
- マリーナ係留
- 使用頻度が高い
場合は、
年間40〜60万円台になることもあります。
重要なのは、
「いくらかかるか」ではなく、
**「どこにコストをかけるか」**です。
■ 中古船は「コントロールできるコスト」
中古船の維持費は、
多くの部分を自分で調整できます。
- 出航回数を調整する
- メンテナンスを学ぶ
- 係留場所を工夫する
新造船と違い、
「高額な状態を維持し続ける前提」ではありません。
中古船は、
身の丈に合わせて付き合える乗り物です。
■ まとめ:維持費を知ることは、夢を壊すことではない
維持費を知ると、
夢が現実に引き戻されるように感じるかもしれません。
しかし実際は逆です。
- 想定できる
- 計画できる
- 続けられる
この状態になって初めて、
船のある生活は「現実の楽しみ」になります。
中古船は、
現実的なコストで、非日常を持てる選択肢です。

