「船舶免許には、どんな種類があるの?」
「釣りやクルージングを楽しむだけなら、1級と2級のどちらを取ればいい?」
「2級免許では、小さな船にしか乗れないの?」
これから船舶免許を取得しようとすると、免許の名前だけでは違いが分かりにくく、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、一般的なボート釣りや日帰りクルージングを楽しみたい方は、まず2級小型船舶操縦士を検討するのが現実的です。
一方、外洋や長距離の航海を考えている方には1級、水上バイクに乗りたい方には特殊小型、湖や川だけで小型ボートに乗る方には2級湖川小出力限定が向いています。
この記事では、船舶免許の種類と違いを比較しながら、自分にはどの免許が合っているのかを初心者向けに分かりやすく解説します。
2級船舶免許で実際に乗れる船の種類や、中古艇の選び方はこちら
船舶免許の種類を一覧で比較

一般に「船舶免許」と呼ばれている資格の正式名称は、小型船舶操縦士免許です。
免許制度上の基本区分は、ボートやヨットを操縦するための「1級」「2級」と、水上オートバイ専用の「特殊」の3区分です。
さらに2級には、湖や川などに利用範囲を限定した「湖川小出力限定」があります。そのため、実際の免許選びでは次の4種類として比較すると分かりやすくなります。
| 免許の種類 | 操縦できるもの | 主な航行区域 | 取得できる年齢 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 1級小型船舶操縦士 | 原則20トン未満のボート・ヨット | 免許上の制限なし | 満18歳以上 | 外洋航海・長距離クルーズ |
| 2級小型船舶操縦士 | 原則20トン未満のボート・ヨット | 平水区域・海岸から5海里以内 | 満16歳以上 | 釣り・日帰りクルーズ |
| 2級湖川小出力限定 | 5トン未満・出力15kW未満の船 | 湖・川・指定水域 | 満16歳以上 | 湖や川での釣り・レジャー |
| 特殊小型船舶操縦士 | 水上オートバイ | 湖川・陸岸から2海里以内 | 満16歳以上 | ジェットスキー・PWC |
1級と2級で操縦できる船は、原則として総トン数20トン未満です。
ただし、総トン数20トン以上でも、長さ24メートル未満で、1人で操縦できる構造を持ち、スポーツまたはレクリエーションだけに使用されるプレジャーボートは、小型船舶として扱われる場合があります。
1級小型船舶操縦士とは?
1級小型船舶操縦士は、免許上の航行区域に制限がない資格です。
外洋でのクルージング、離島への航海、ヨットでの長距離航海など、将来的に広い海域を航行したい方に向いています。
1級が向いている人
- 外洋へ出たい
- 離島までクルージングしたい
- 長距離の航海を計画している
- 将来の行動範囲を限定したくない
- 2級より広い航海知識を身につけたい
ただし、「1級を持っていれば、どこへでも自由に行ける」という意味ではありません。
実際に航行できる範囲は、免許だけでなく、その船の船舶検査証書に記載された航行区域、船の装備、気象・海象、燃料、操船者の経験などにも左右されます。
また、動力船で海岸から100海里を超える海域を航行する場合には、一定資格を持つ機関長を船長とは別に乗船させる必要があります。
1級は2級よりも上級運航や海図などの学科範囲が広くなります。一方、2級を取得した後に1級へ進級する場合は、共通学科や実技試験が免除される仕組みもあります。
2級小型船舶操縦士とは?
2級小型船舶操縦士は、平水区域と海岸から5海里、約9.3キロメートル以内を航行できる免許です。
週末のボート釣り、湾内のクルージング、家族でのマリンレジャーなど、沿岸を中心に楽しみたい方に適しています。
2級が向いている人
- 初めて船舶免許を取得する
- 沿岸で釣りを楽しみたい
- 日帰りクルージングをしたい
- レンタルボートに乗りたい
- 将来、小型のプレジャーボートを所有したい
- まずは費用や学習負担を抑えて始めたい
ここで誤解されやすいのが、「2級では小さな船にしか乗れない」という点です。
1級と2級では、原則として操縦できる船の大きさは同じです。大きな違いは船のサイズではなく、航行できる海域にあります。
そのため、24フィート、26フィート、30フィートといった船の長さだけで、1級が必要か2級でよいかを判断するものではありません。
※2級を18歳未満で取得した場合は、満18歳になるまで操縦できる船が5トン未満に限定されます。
大阪湾での釣りなら2級で足りる?
大阪湾沿岸での日帰り釣行やクルージングが中心なら、2級免許で検討できるケースは少なくありません。
ただし、実際に航行できるかどうかは、出航地から目的地までのルート、陸岸からの距離、その船に設定された航行区域によって決まります。
「大阪湾だからすべて2級で行ける」「淡路島周辺ならどこでも問題ない」と一括りにはできません。
免許を選ぶときは、船の購入前から次の点を考えておきましょう。
- どこから出航するのか
- どの海域で釣りをしたいのか
- 日帰り利用が中心か
- 将来的に遠征したいか
- どのような船を所有したいか
大阪湾の近場釣行から始めるなら2級、将来的に紀伊水道の先や外洋への長距離航海を考えるなら1級、という考え方が一つの目安になります。
免許を取った後、どんな船が合う?
免許の種類が決まっても、「自分にはどんなボートが合うのか」は別の問題です。
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2級小型船舶操縦士・湖川小出力限定とは?
湖川小出力限定免許は、湖、川、指定された水域で小型ボートを操縦するための資格です。
操縦できる船は、総トン数5トン未満、エンジン出力15kW未満に限定されます。
湖川小出力限定が向いている人
- 湖でバスフィッシングを楽しみたい
- 川で小型ボートに乗りたい
- 海へ出る予定がない
- 使用する船とエンジンが限定条件内である
- 利用場所が明確に決まっている
取得範囲が限定されるため、将来的に海で釣りやクルージングをする可能性がある方は、通常の2級免許も比較しましょう。
取得費用だけで選ぶと、後から通常の2級が必要になる場合があります。
特殊小型船舶操縦士とは?
特殊小型船舶操縦士は、水上オートバイ専用の免許です。
一般的にジェットスキー、水上バイク、PWCなどと呼ばれる乗り物を操縦するために必要です。
航行できる範囲は、湖川と陸岸から2海里、約3.7キロメートル以内です。
特殊小型が向いている人
- 水上オートバイに乗りたい
- ジェットスキーを楽しみたい
- PWCを使ったマリンレジャーをしたい
注意したいのは、1級や2級を持っていても、水上オートバイは操縦できないことです。
反対に、特殊小型免許だけを持っていても、通常のモーターボートやフィッシングボートは操縦できません。ボートと水上オートバイの両方に乗りたい場合は、1級または2級と、特殊小型の両方が必要です。
1級と2級の違いは、船の大きさではなく航行区域

1級と2級の違いを簡単にまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | 1級 | 2級 |
| 航行区域 | 免許上の制限なし | 平水区域・海岸から5海里以内 |
| 操縦できる船 | 原則20トン未満 | 原則20トン未満 |
| 取得年齢 | 満18歳以上 | 満16歳以上 |
| 学科 | 上級運航・海図等を含む | 沿岸航行に必要な基礎内容 |
| 向いている利用 | 外洋・長距離航海 | 沿岸釣行・日帰りレジャー |
1級は「大きな船に乗るための免許」、2級は「小さな船に乗るための免許」という区分ではありません。
「どんな船に乗るか」だけではなく、「どこまで行きたいか」で選ぶことが重要です。
1級と2級についてさらに詳しく比較したい方は、関連記事「2級船舶免許と1級船舶免許の違いとは?」もあわせてご覧ください。
目的別・おすすめの船舶免許

どの免許を取得すべきか迷っている方は、やりたいことから選んでみましょう。
沿岸で釣りをしたい
おすすめ:2級小型船舶操縦士
大阪湾などの沿岸で、日帰りのボート釣りを楽しみたい方に向いています。
外洋や離島へ航海したい
おすすめ:1級小型船舶操縦士
長距離クルージング、外洋航海、遠征を視野に入れている方に向いています。
湖や川だけで小型ボートに乗りたい
おすすめ:2級湖川小出力限定
海へ出る予定がなく、使用する船とエンジンが限定条件内である方に向いています。
水上オートバイに乗りたい
おすすめ:特殊小型船舶操縦士
水上オートバイ専用の資格です。通常のボートにも乗りたい場合は、1級または2級も必要です。
まだ利用方法が決まっていない
おすすめ:まず2級を比較
沿岸での釣りやクルージングから始めたい場合は、2級が選択肢になります。将来的に行動範囲を広げたくなったら、1級への進級も可能です。
船舶免許は何歳から取得できる?
受験可能年齢と、実際に免許を取得できる年齢は異なります。
| 免許 | 受験可能年齢 | 免許取得年齢 |
| 1級 | 満17歳9か月以上 | 満18歳以上 |
| 2級 | 満15歳9か月以上 | 満16歳以上 |
| 湖川小出力限定 | 満15歳9か月以上 | 満16歳以上 |
| 特殊小型 | 満15歳9か月以上 | 満16歳以上 |
また、視力、色覚、聴力、身体機能などの身体基準があります。矯正視力でも受験できますが、不安がある場合は試験機関や教習所へ事前に相談しましょう。
船舶免許の取得方法は2通り
船舶免許の取得方法は、大きく分けて次の2通りです。
国家試験を直接受験する方法
自分で学科を勉強し、必要な実技練習を行ったうえで、身体検査、学科試験、実技試験を受験します。
費用を抑えられる可能性がある一方、実技練習の環境を自分で用意する必要があります。
登録小型船舶教習所を利用する方法
登録教習所で学科と実技の講習を受け、修了審査に合格する方法です。
所定の課程を修了すると、国家試験の学科試験と実技試験が免除されます。
一般的な流れは次のとおりです。
- 取得する免許を決める
- 試験機関または登録教習所へ申し込む
- 学科の勉強・講習を受ける
- 実技の練習・講習を受ける
- 国家試験または修了審査を受ける
- 合格後に免許を申請する
- 小型船舶操縦免許証を受け取る
取得日数や費用は、免許の種類、地域、スクール、受講方法によって異なります。
詳しくは、関連記事「船舶免許はどうやって取る?」と「船舶免許の費用はいくらかかる?」をご確認ください。
遊漁船や旅客船の船長には特定操縦免許が必要
家族や友人とレジャーを楽しむ場合と、料金を受け取って人を乗せる場合では必要な資格が異なります。
遊漁船や小型旅客船など、人の運送を行う事業用小型船舶の船長になる場合は、通常の1級または2級免許に加えて、特定操縦免許が必要です。
特定操縦免許制度は、2024年4月1日から講習内容や履歴限定制度などが改正されています。将来的に遊漁船業や旅客運送を考えている方は、通常の船舶免許とは別に確認しましょう。
船舶免許の種類に関するよくある質問
2級免許では何フィートまで乗れますか?
船の長さだけで決まるルールではありません。
1級と2級は、原則として総トン数20トン未満の船を操縦できます。一定の条件を満たす長さ24メートル未満のプレジャーボートも対象になる場合があります。
ただし、船ごとに定められた航行区域を守る必要があります。
1級免許があれば水上バイクにも乗れますか?
乗れません。
水上オートバイを操縦するには、1級や2級とは別に特殊小型船舶操縦士免許が必要です。
特殊小型免許でボートに乗れますか?
通常のモーターボートやフィッシングボートは操縦できません。
特殊小型免許は、水上オートバイ専用です。
初心者は1級と2級のどちらがおすすめですか?
沿岸での釣りや日帰りクルージングが目的なら、2級から検討する方法があります。
外洋航海や長距離クルージングを明確に予定している場合は、最初から1級を取得する選択肢もあります。
2級から1級へ進級できますか?
できます。
2級免許の保有者が1級を受験する場合、共通する学科と実技試験が免除され、上級科目を中心に受験します。
船を持っていなくても免許を取得する意味はありますか?
レンタルボートや会員制のボートクラブなどを利用できるため、船を所有する前に免許を取得する方もいます。
ただし、レンタル条件や利用できる海域は各サービスで異なります。
免許があればどの海でも自由に航行できますか?
免許の範囲だけで判断することはできません。
船舶検査証書に記載された航行区域、船の性能や装備、天候、燃料、操船経験なども確認する必要があります。
まとめ|どこで何をしたいかで船舶免許を選ぼう
船舶免許は、実際の選択肢として次の4種類があります。
- 1級小型船舶操縦士
- 2級小型船舶操縦士
- 2級小型船舶操縦士・湖川小出力限定
- 特殊小型船舶操縦士
沿岸で釣りやクルージングを楽しみたい方は2級、外洋や長距離の航海を考えている方は1級、水上オートバイに乗りたい方は特殊小型、湖や川だけで利用する方は湖川小出力限定が基本的な選択肢です。
ただし、免許取得はマリンライフのゴールではなく、スタートです。
実際に船を所有するときは、免許の種類だけでなく、出航エリア、釣り方、利用人数、船のサイズ、係留費、燃料費、メンテナンス費用まで考える必要があります。
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